グッドナイト〜クローバーの記憶〜




どこで何をしているのだろう。
大好きだった人。今も大好きな人。



わかっている。
今日も早く起きて、朝の祈り、質素な朝食、教会の掃除…
きっと、毎日何一つ変わらない規則正しい日々を過ごしているのね。
でもそれは決してつまらない日々ではなく。
あなたにとってはかけがえのない一日のスタート。



会えなくなって、何十年も経つのに。
今でもあなたのことが鮮明に浮かぶのは。



それは今もあなたが私の支えだから。

あなたを愛していることが私の支えだから。


この気持ちが苦しかったのね。
そう思われていることが。


だからあなたはいなくなった。
でもちっともうらんでいない。

あなたには抱え切れなかった。

ごめんね。
私が普通の女の子だったら、あなたを助けてあげられたのに。
あなたの苦しみを一緒に苦しんであげられたのに。



今でも大好きな人。


あなたもきっと、私を思い出している頃。

だって。



今日は私の誕生日。
シロツメクサのリングをくれたでしょう。

もっといいものを差し上げたいのに。

そう言ってくれたあのリングは、どんな宝石よりも素敵だった。


今日は朝から、中庭のシロツメクサを摘めるだけ摘んで、部屋に広げた。



私の記憶の中のあなたが動き出す。
あなたの記憶の中の私が動き出す。



逢いたかった。
死ぬ前に一度だけでも逢いたかった。



おやすみなさい。今日は何十回目の誕生日だったんだろう。
なんだか部屋の外が騒がしい…。



そうなんだ。
来てくれたんだ、クリフト。
でも眠くてたまらないから、後で話してね。




おやすみなさい。





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クローバーはなぜシロツメクサなのか?
不○家ミルキーチョコレート(激甘!しかし癖になる)からの受け売りですが。
その昔、外国からの荷物を日本に送るときに、中にクローバーを荷物のクッションとして
いっぱい詰め込んであったのだそうです。だから日本名…シロツメクサ。

その種が今や日本中に広がったと思うと、それはそれは素敵な荷物だったんだな…。





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