翌日。真下は意気揚揚と刑事課にやってきた。
「せんぱーい」
「なんだ、係長、うれしそうじゃない」
「雪乃さんが、雪乃さんが、僕にケーキご馳走してくれたんですよぉ」
「よかったじゃなぁーい」
真下が語尾を伸ばすので、青島も同じ口調で返事した。
「係長、それで今日はうきうきしてんだ。仕事早いね、真下君」
「先輩、僕うれしくて」
「俺も、昨日はいいことあったんだよ」
「え?」


口笛を吹きながら、青島は出て行った。青島のコートのポケットには、空になったチョコレートの箱が入っていた。


その二人の様子を見ながら、すみれと雪乃は微笑んでいた。すると真下は、いきなり魚住につかまってしまった。
魚住は昨日のアンジェラのチョコレートケーキは、特別おいしかったんだよと、真下にしゃべりまくっていた。早くも真下はうんざりという表情になった。


いつもと変わらない朝で、いつもと少し違う朝だった。




あとがき


作者が全くバレンタインデーに縁がないので
こういうアマアマな話は苦手ですね。
書きながら甘いなあ…と吐きそうな思いがしたのだった…。







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