それぞれのデート


・青島とすみれの場合

「青島君、どこ連れてってくれるの」
「うーん、俺、女の子の好きそうなレストランって知らないんだよねえ」
「そんなことだと思ったわ。やっぱり目星つけてきてよかった」
「目星って?」
「前から行きたかったフランス料理のお店あるんだー♪」
「そこって高いの、すみれさん」
「まあ、三ツ星レストランだから、それなりに」
「……」
「どうしたの、青島君」
「いや、あのね、すみれさん。レストランの料理がうまいかどうかは、カレーで決まるんだって」
「カレーあるといいわね、そこに」
「……。金足りるかな…」

・真下と雪乃の場合

「雪乃さん、有休とって旅行しましょうよぉ。僕、いい温泉知ってるんですよ、秘湯ですよ、秘湯」
「…お父さんに聞いたの?」
「…参っちゃうなあ…ばれました?」
「二人きりで旅行なんて…私…」
「あ、雪乃さん、僕、雪乃さんが考えてるような男じゃないですよー」
「え?そ、それはわかってるけど…。ご、ごめんなさい、真下さん」
「い、いえ、僕も、びっくりさせちゃったみたい、ごめんね、雪乃さん」
「顔、赤いですよ、真下さん」
「雪乃さんこそ」

・袴田課長と奥さんの場合

「何て言ったの、今?」
「だから今日から3日間、私たち、旅行に行くから帰ってこないでって、言ったのよ」
「帰ってこないでって、僕、どこに泊まればいいの」
「警察に留置所あるじゃない」
「りゅ、留置所!?」
「じゃあ、あなた、私たち行ってきますからね、お土産買ってきますから」
「あ、どうもありがとう、って、そうじゃないよ、もしもし?もしもーし!」




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