秘密の話



「クリフト!姫はおらぬか!」
ブライが教会に飛び込んできた。

「そんなに慌ててどうなさいました。姫様ならけさお見かけしましたが」
「それからお姿を見らんのじゃ!もうすぐ謁見の時間がくるというのに。ここに姫はおられんのか?」
「今日はこちらにはお見えではありませんが。
しかし、確か今日は外国からトルネコさんのご友人の商家の方がお見えと聞きました。
心当たりを探してみましょう」
「うむ、頼む。全く姫は困りものじゃ」


クリフトは図書室に急行する。
城のみなが一番探さないはずの図書室にアリーナがいることはクリフトには分かっていたからだ。


「ここで何をしていらっしゃるのですか?もうすぐ謁見のお時間ですよ」
「……ちぇー、クリフトはすぐ見つけちゃうのね。
ここだったら私がいるはずないって決め込んで誰も探さないと思ってたのに」
「ちぇー、とはまたそのドレスには似つかわしくございませんね」
さすがに今日は王女らしくドレスを着ているアリーナは、見た目だけならおしとやかに見える。


「謁見なんて名ばかりで体のいい商談じゃないの。私は聞いたわ。
トルネコさんの友達だから、お父様だって無碍にはできなくて お会いになるけど」
「まあ、そうおっしゃらずに」

アリーナはクリフトとしぶしぶ外に出る。
「あーあ、堅苦しいからやだなー」
「すぐ終わりますよ。これも姫様のお仕事なのですから」
「……うん…」






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