ブライがぐいと近づく。
「クリフト、なんということをしてくれたのじゃ」
「あの、あの、私はですね、姫様を思う気持ちは、ほんとに、あの」
「そんなことはわかっておる」




そんな押し問答をしているところに、国王が教会に来た。
クリフトは覚悟した。とはいうものの…。

「へ、陛下。私は、けして、けっして」
「まあ座れ。そなたらしくもない、そのように慌てて」
クリフトは腰を下ろした。国王・ブライも椅子に座る。神父は心配そうな顔をして成り行きを見ている。


「クリフトよ、アリーナが妊娠したことは聞いたな?」
「はい……」
「わかっておるだろうが、アリーナはサントハイム国王女。いずれは、この国の女王になる身だ」
「……………」
「まったく困ったことだ。こんなことになるなら……」
「……………」




クリフトは何を言われるのか、わかるような気がして辛い。苦しい。喉が渇く。



どんなにお互いの気持ちが惹かれあっていても、許されないことをしてしまった。






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