しかし次の国王の言葉は、クリフトにとって驚愕の一言だった。


「早く結婚させるべきだったの」
「!!」



「まったく困ったことだぞ、クリフト。今からでは、どんなに急いでも、結婚式まで半年はかかってしまう。これでは結婚してすぐ世継ぎが生まれてしまうではないか。困ったことだぞ」
そう言って国王は愉快そうに笑った。


「あの……?」
「ブライよ、まったく困ったの」
「さようでございます、陛下。今、クリフトを叱っておりました」
「うむ。まったく最近の若い者は油断ならぬ」
「はしたないことでございます」
「まったくだ。これについては、アリーナもクリフトも、きつく叱らねばならぬ」
「…陛下?…ブライ様?」


国王は静かに言った。
「クリフトよ。あんなおてんばでよいのか?」
「!」
「お互いに好きなら、なぜわしに言わなかった」
「それは……」
「隠れて付き合うなど、わしは気に入らぬ」
「……申し訳ありません」
「まあよい。アリーナの選んだ相手がクリフトで、わしは喜んでおるのだ」
「…本当に私などでよろしいのですか」
「そなたはアリーナと遊びで付き合っておるのか」
「けしてそのような!」
「うむ、それを聞いて安心した。クリフトこそアリーナの夫に一番ふさわしい。むしろそなたがアリーナでよいのかわしは心配だぞ。そなたには、よい話もたくさんあるのに」
「私は…私はずっと、姫様だけを……」
「よい、よい。アリーナをよろしく頼むぞ」
「……はい」
「声が小さい」
「はい!必ず、必ず姫様を幸せにいたします!!」
「うむ。頼んだぞ」
「はい」






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