今日の当直は、青島とすみれだ。だんだん人が減っていく。
「じゃあ、私も上がりますね」
雪乃が言った。
「あ、じゃ僕も。送っていきますよ」
真下が慌てて立ち上がった。
「じゃ、帰りましょうか」
真下と雪乃は二人並んで出て行った。

その後ろ姿を見ながら、すみれがつぶやく。
「真下君、雪乃さんとうまく行ってるのかなあ」
「チョコレートもらえなかったって言ってたよ」
「じゃあ、まだ真下君の片想いなんだあ」
「一途だよね、真下は」
「そうね」


「ねえ、青島君は本命チョコもらえたの?」
「え?もらってないよ、寂しいバレンタイン」
「ほんとねえ」
「すみれさん」
「こりゃ失敬」
「すみれさんは、本命、誰かにあげたの?」
「ううん」
「こないだ真下が、ケーキ屋ですみれさん見たって。チョコレート買ってたんだろうって言ってた」
「やあね、真下君って。人のプライベートな時間、覗き見して」
「で、誰にあげたの?」
「だから誰にもあげてないわよ。こないだ私が買ったのは、友達のお見舞いにクッキーの詰め合わせ」
「メロンじゃないんだ」
「いいじゃない」







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