国王は、侍医や、ブライ、大臣、と顔を突き合わせていた。 「困ったものだ、アリーナは、すっかり元気をなくしてしまった……」 「無理もありますまい、クリフトを失ってしまったのですから」 「ブライ、そうは申してもだな、いつまでも、あんな調子ではいかんのだ、厳しいかもしれんが、国の政は停滞してはいかん」 「国王陛下、今は姫様にそういうことを申し上げるのは酷というもので。及ばずながら、この私も陛下をお助けする所存でおります」 「大臣はよくやっておる。しかしだな、来年か、遅くとも再来年には、アリーナに婿を取らせねばならん」 「クリフト殿をなくしたばかりの姫様には、それはあまりに……」 「アリーナは次期女王だ。辛いだけでは、国は成り立っていかんのだ」 「まあ、陛下、とりあえず、姫がよくなられませんと。侍医、姫の具合はどんな風じゃ」 ここまで黙っていた侍医はやっと口を開く。 「姫様は過労でございますゆえ、お休みになればすぐによくなられるでしょう」 「そうか、それはよかった」 「しかし、ご結婚ということに関しては、私は反対いたします」 「どういうことだ」 「陛下。お世継ぎが誕生なさいますゆえ、ご結婚はまずかろうと思います」 「は!?」 一同は目を丸くする。 「お世継ぎが誕生なさいますので、クリフト殿のお子ですので、ご結婚はまずかろうと申しております」 「ど、ど、どどど」 国王は言葉が上手く出ないので、ブライは、さえずりの蜜がいるかと思いつつ、後の言葉を引き取った。 「どういうことじゃ、姫はご懐妊か」 「さようでございます。ご結婚後、3年経っておりますし、不思議はございますまい」 「そうか!それはめでたい!陛下、お世継ぎだそうですぞ!」 「さらに、一度に二人のお世継ぎがお生まれになりますので、この城も来年はにぎやかになりますでしょう」 「なんと双子か、これはクリフトもたいしたもんじゃ」 ブライは笑い出したが、国王はぽかんと口をあけているだけだった。 |