「じゃ、さっそく作るかー!」
マーニャが大声を出した。
「姉さんは、昔から料理してなかったじゃないの。作るのは私ばっかり…」
「ミネア。マーニャ様に不可能はないのよ。できないのではなく、やらなかっただけなの」
そういうとマーニャは鼻歌交じりで、野菜を切り始めた。
「すごいじゃない、マーニャ」
ソフィアはマーニャの包丁捌きを横目で見ながら、ミネアとスープの支度に入っている。
「まかせなさいよー」
「姉さん、料理できるのね…。それなら今まで何でしてくれなかったの」
「私は舞台労働で疲れてるんだもの、あんたがするの当たり前でしょう」
「…………」



この一部始終を、アリーナは黙って見ていたが、やがて声をかけた。
「ねえ?私は何をすればいいのかな?」
「あ、アリーナは、そうだ、ジャガイモむいてもらえる?」
「え?」
「このジャガイモの皮をむいといて。私が切るから」
マーニャが5個のジャガイモをアリーナの目の前に置いた。



(ジャガイモをむく…。きっとこの包丁でむくのよね…)
アリーナはやおら包丁をつかむと、いきなりむき始めた。
ソフィアたちは息を飲んだ。
危なすぎる!!
さらにジャガイモの皮にしては、ずいぶん分厚いものがアリーナの手元から落ちていく。






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