翌日の魔法教室は子供たちが集まった。そんなにたくさん子供がいる村ではなかったが。
昨日のアバンの活躍ぶりは、もう村中に広まっていた。

「いやあ、みんなよく来てくれましたね。昨日中断した魔法の契約をやってみますからね。さあ、ポップ君。こちらに来てくださいね」
今度はポップは教えてもらいたいがために、進んで歩み寄る。
「魔法を使うためには呪文と契約しなくてはいけません。今日は一番易しい基本中の基本『メラ』という呪文の契約をやりましょう」
「うわーっ。魔法が使えるようになるのかあ!」と子供たちは大騒ぎである。
アバンは呪文の契約の仕方を、ポップをそのモデルとして子供たちに教えた。
ポップの周りに五芒星が描かれ、メラの契約が済んだ。
「さあ『メラ!』と唱えてご覧なさい」

「メラ!」

小さな炎がポップの指先からほとばしる。
「うおーっ!」と子供たちの声がする。
「うわ、おれ魔法ができた!」
ポップには信じられなかった。自分の指から炎が出たのだ。

これを見た子供たち、ポップができるくらいだから、楽勝だと呪文の契約を始める。
ところが…、ポップ以外の子供は呪文の契約ができなかった。
「なんで、なんでおれにはできないんだよ!」
ポップの友人は怒鳴りまくる。ポップは調子に乗って言った。
「へへっ。だからおれには才能があるんだよ。もともと魔法の才能があるんだろうなぁ」






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