クリフトは顔色を失った。
いや、それは心当たりがあるからではなく、まったく思いがけない言葉だったからだ。


「な、な、な、な、何ですって!?」
「どう?やっと思い出した?むかむかするのはね、妊娠してるからなの」
「お、思い出すも何も、わ、私は姫様と、そ、そのような」
「コトはやってないとか言うんじゃないでしょうね」
「な、何もしてませんよ!まだ手さえ握ったことが!い、いえいえ、あの!そんなことはまったく思っても!」
「ないの?」
「はい!」
「ほんとに?何もしてない?」
「か、神に誓って!」


マーニャはクリフトをじっと見た。
確かにこいつは嘘は言えないやつだよなあ、と思う。
あまりにも唐突なことを言われて、クリフトは顔面蒼白である。



「うーん……。じゃ、何で遅れてるんだろ?」
「何が遅れてるんですか」
「あ、いやいや、なんでもないよ。ごめん、びっくりさせて。あはは」
「?」







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