宿屋。
アリーナは、ぱふぱふとは何だろうと気になって仕方ない。
クリフトの部屋を訪ねる。

「ねえ、あそこでクリフトは何をしていたの?ぱふぱふっていうのをしてたの?」
「な、何もしてませんよ!」
「じゃあ、ぱふぱふって何なの?」
「…私もよくはわからないんです」
「でもなんとなくはわかるのよね?」
「…いえ」
「クリフトはしたことあるの?」

クリフトはシナモンティーを、噴き出した。

「あ、ありませんよ!何をおっしゃるんですか、姫様は!私は生まれてこの方、そのような体験は、い、一度も」
「そんなに焦らなくてもいいじゃない。そのようなって、言うことはやっぱり知ってるんだ。
でもしたことはないのね?マーニャがもうすぐわかるって言うんだから、私にも起こるわよね」

何気ない一言だったが、クリフトの胸はチクッとした。

「そうかも知れませんね…」
アリーナの結婚のことを考えると胸が痛くなる。

「経験がないんじゃクリフトに聞いても仕方ないわね。マーニャにでも聞いてこようかなあ」
「姫様!」
もうアリーナはいない。



マーニャとミネアの部屋。
アリーナがいきなり切り出した。
「さっきのぱふぱふのことなんだけど…」
「姉さん!何てことをアリーナさんに!」
「ミネア。ほんとのことでしょ。あそこは、ぱふぱふの部屋だもの」
「だからと言って…」
ミネアが謝る。
「ごめんなさいね。アリーナさん、気にしないで」
「謝らなくてもいいじゃない、ミネア」

アリーナが尋ねる。
「ぱふぱふって悪いことなの?」
マーニャは、悪戯っぽく笑いながら言った。
「ううん、違うわ。人と仲良くなれると思うわ、たぶん」
「ふーん」
「お付きの人にでもしてあげたら?」
「姉さん!」


だが、アリーナが言った次の一言は、マーニャとミネアを黙らせるに十分だった。


「ブライに?」
「…………」







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