・王宮戦士の想い

ライアンはひとりつぶやいた。

「友よ、私のことを憎んでいるか。お前の命を奪った魔族を束ねる者と、今私は旅をしている。恨んでいるか。
頼む、許してほしい。同じ目的のために、やつと旅をしているのだ。
この旅が終わればきっと世界は平和になる。そのときこそお前は救われる、そうじゃないか?
我々は王のためには命も惜しまぬ王宮戦士だ。
だから、王の命令に従い命を落としたお前の死は、きっと無駄ではないはずだ。
そしてお前の死を無駄にしないために、世界を平和にしてみせる……だから今だけ許してくれ。頼む………」


ライアン以外誰もいない部屋。ライアンは涙を懸命にこらえる。
「王宮戦士たるもの、婦女子のように泣いたりはせぬぞ!」



・気楽なジプシー姉妹

「ピサロまで入っちゃったね、ますますお金が要るじゃない。当分カジノにはいけないわね」
「姉さんは気楽でいいわね」
「ちょっとミネア、カジノにいけないなんてちっとも気楽じゃないわよ」
「……姉さん、姉さんは平気なの?お父さんの仇のバルザックは、あの人の手下だったのよ」
「そんなことわかってるわよ」
「私は複雑な気分だわ。なんとなく割り切れないの」
「ミネア、誰だってきっとそうよ。心のどこかではピサロを許せず、それでも仲間と認めたのよ。
同じ目的のために。考えたってなるようにしかならないじゃないの」
「……そうね。こんなときは姉さんの楽天的な考え方のほうがいいかもね」
「それに若い男が身近にいるってことはいいもんよ」
「姉さん、初めてクリフトさんに会ったときもそんなこと言ったわよね。だけどピサロさんって若いのかしら?」
「あんたこそクリフトが気に入ってたじゃないの。
ま、今思うと、クリフトみたいな堅物は私の趣味じゃないんだけどね。アリーナがいて残念だったね、ミネア」
「変なこと言わないで。ピサロさんだってロザリーさんがいるのよ」
「ヴッ…」
「ロザリーさんを見てるとうらやましいわ。私もいつかあんなふうに恋人が…」
「こんな団体生活じゃ、なかなか恋人もできないわね。ああ、いい男と二人きりの旅がしたい!」
「姉さんとじゃ、男の人はやってけないわよ、お金かかりすぎて。
私は姉さんとの二人旅のときたいへんだったもの。」
「なんですってぇ〜」







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